手綱獲りの旅

いつのまにか時は流れおっさんになってしまってました。

メディアにどっぷり毒された社会

いまさら何をという感じもしますが、

我々が常識だと思って受け入れている価値基準のうち

相当の部分はメディアの植え付けと言っていいと思います。

 

トヨタ ウェルキャブスペシャルムービー「親子に同じ質問をしてみた」篇 ...

こういうCMは非常に典型的で、

「親>子供」という図式を押し付けてきます。

親の方が子供のことを思っている。

子供は普段それを意識しなさすぎる。

だから親に感謝しよう。

 

こういうものが平気で「感動した」というコメントをもらう限り、

自由な社会はまだ遠いなあと感じます。

 

良く考えてください。

CMです。

それを見る人に車を売るための映像です。

決してそれを見る人に精神的な充足感を与えたり、

人生に対してなにか大切なことを気づかせてくれたりするような類のものではないはずです。

それが第一の目的であれば映像の最後に車の宣伝が入るわけないだろう。

親がいる成人した子供とか、あるいは結婚して孫がいるような親でしょうか。

とにかく、ターゲットを絞り、それに車を買わせる、というのが目的のものに、

「感動した」なんてコメントしている人は企業からしてみれば格好のカモなんでしょう。

台本があるのか、出演者は本当にエキストラなのか、その辺はいろいろ可能性があるにしても、

「どういう層にどういうメッセージを打ち出すか」

「そのCMでどの層がどれくらい買ってくれそうか」

が明確でない企画が通るとは思えないので、

CMというのは(当たり前すぎですが)かなり偏向的なものだといっていいでしょう。

 

テレビや新聞、漫画、小説、ビジネス書、何でもいいですが、

これらはすべて「商品」であって、

人生の正解や真理のメッセージなどではありません。

たくさんお金を動かすものがえらいという世界であって、

それ以外の価値観で動いているということは結局のところないといっていいでしょう。

 

ですので、これらはなるべく多くの人にとってわかりやすく、

受け入れられやすいメッセージをこめて作られます。

ドキュメンタリーでさえ、複雑で入り組んでいるはずの取材対象の人生を

30分とかそういう決まった時間ですっきりと視聴者が理解できるような

筋道でもって描いてしまうのです。

繰り返しますが、これらは「金儲けのためのファンタジー」であって、

人生のあるべき姿でも、目指すべきゴールの例でもなんでもないのです。

 

 

私の親はテレビばかり見ています。

これには本当にうんざりさせられました。

流動食のように何にも考えなくても消化できるようになったコンテンツで得た

安っぽい人生訓を聞かされて育ちました。

しかも、当たり前ですが、そういったコンテンツのうち、

自分に都合の良いところを抜き出してさもそれが人生の正しい姿であるように

押し付けてくるのです。

 

本当の人生は、30分のドキュメンタリーのように

一本道のきれいなストーリーなんかではないし、

むしろそんなふうにまとめきれないところに

面白さや味わい深さがあるのではないかと思います。

しかし私の親のような人間は、

「テレビのようでない」自分の人生や、

「漫画の主人公のようでない」自分自身に勝手に絶望し、

そのようにメディアから植えつけられた不満や自己嫌悪をこちらにぶつけてくるのです。

 

我々としては、ぜひそういう層の人たちの悪影響を受けないように

気をつけなくては、と自戒するのみです。

とにかく「夢や物語のない人生はくだらない」みたいなことを

いい年をした大人が平気で口にしていてはいけないのでは、と思います。

私は人生の旨味はそんなところにはない、と信じています。